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公費支出どこまで 消防団との懇親会

11市中7市は全額自己負担

                       讀賣新聞サーチ2001  2001年6月25日

 

 京田辺市が市消防団役員や団員との懇親会の飲食代を食糧費から支出しているのは異邦として、市長を相手に返還を求める住民監査請求が出された。府内では12市のうち、11市が同様の懇親会を開いているが、7市は全額が自己負担の会費制だ。公費の支出は、と゜こまで認められるのか。(森本寿夫)

 会席48人分28万8千円、ビール63本、清酒105本・・・・・。奉仕料11万1390円も含め、計52万9087円。同市が1996年4月、市内の料理店で開いた懇親会の請求明細書だ。

 「まさに宴会ですよね」。市に公開を請求して写しを入手した市議の次田典子さん(48)が苦笑いする。

 市消防本部によると、懇親会は、30年以上前から続く慣例だ。年に4、5回、市長や消防長らも含め、10数人から約50人が参加する。数年前まで1万数千円という高額な“宴会”もあった。

 昨年度、消防団との懇親会の飲食代を公費から出した市は、京田辺が5回で約93万円(1人約6千6百〜約4千5百円)、八幡3回約70万円(同約8千3百〜3千円)、城陽2回28万円(同約4千5百円)、向日1回7万2千円(同8千円)。

  京田辺市は公費で全額を支出し、八幡と城陽の両市は、費用の一部を参加者が負担。向日市は、団員分を公費から出し、市・消防本部職員はポケットマネーで支払っている。一方、京都や宇治、舞鶴などの7市は年に1〜3回、会費制で実施。福知山市は会議や研修会だけで、懇親会はない。

 「飲食を共にしながら、率直に意見を交わすことで火災現場での連携も違ってくる」と、大半の市が懇親会の意義を認める。

 しかし、きびしい財政事情の中、各自治体は、審議会も昼食抜きが当然になり、缶飲料1本でも切りつめてやりくりしている。消防団とはなぜ、公費なのか。

 「ボランティア精神で真夜中も出勤してもらっている。火災や訓練時に支給する費用弁償も他市より低い」(京田辺市)、「阪神大震災で消防団の意義が再認識された。組織を結束させるのは、行政目的上もかなう」(八幡市)、ハードな職務で、十年以上も新団員のない分団もある」(城陽市)

 これに対し、会費制の各市は「公費支出は、市民の理解を得られない」 「予算がつかない。会費制が一番すっきりしている」と言う。

 元消防団員という市職員は言う。「火災があれば、現場に近い分団がまず、出動する。訓練も厳しい。その割に報酬や費用弁償は低い」。府中部の消防団役員は「地域を自分たちで守るという誇りがある。後ろ指を指されたくはないし、会費制に異論はありません」

 京田辺市消防団員の費用弁償は、火災出動一回で最高二千円。城陽市と八幡市は最高で一日五千円だ。

 「京都・市民・オンブズパースン委員会」の代表の一人、高橋幸子さん(56)は「必要ならば、報酬などを引き上げるのが筋で、団員が活動しやすいシステムにすべき。公費で慰労する悪習は改めては」と指摘する。

 食糧費の支出に基準を示した判決は、九六年十一月に大阪高裁が官官接待で「六千円まで」昨年六月に神戸地裁が昼食会や内部会合で「必要最小限の支出は認められる」という言い分も理解できないわけではないが、消防団に限って繰り返されるのでは、「行政の勝手な理屈」という批判は避けられない。

 


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